尾池和夫新理事長が4月5日に開催された入学式にて、就任後初めて学生へメッセージを送りました。
理事長あいさつ
2018年4月5日静岡県公立大学法人理事長 尾池和夫
静岡県立大学学部に入学された653名、短期大学部121名、大学院修士課程99名、博士課程32名の方々、入学を心からお祝い申し上げます。皆さんは、この静岡県立大学を自らの選択で入ってこれらました。公立学校法人の役員、大学の教職員が、皆さんの期待に応えるよう、精一杯の準備をして歓迎いたします。今日の式典を迎えた皆さんは、東はカナダから、北は韓国や北海道から、西は中国やミャンマーから、南はインドネシア、マレーシア、ベトナムからというように広い地域からこの静岡に集まって来られました。
ご家族の皆さまは、学習の支援をしながら今まで見守ってこられました。今日の感激もひとしおであろうと思います。心からお祝い申し上げるとともに、入学を機会に、これからは独立した社会人として、静かに見守ってあげていただきたいとお願いします。
皆さんの先輩には、静岡県立大学の開学以来の卒業生18,315名、県立短大の開学以来の卒業生7,100名、静岡薬科大の卒業生4,176名、静岡女子大学の卒業生2,911名がおられます。それらを合計すると、実に32,502名の先輩たちが社会で活躍してこられました。
この歴史は、静岡県立大学連合学友会「はばたきの会」を中心とする連携のもとに、それぞれの分野での活動になって、続けられていることと思います。
私自身、今回この理事長に就任することによって、今日ご入学の皆さんと同じく、この大学の新入生であります。これから大学の中をしっかりと学んで参ります。やがてさまざまな機会を通じて、この「はばたきの会」についても、その具体的な姿に接することができると楽しみにしております。
また、本学と歴史的に関係が深く、本日のご来賓でもある静岡文化芸術大学の365体育网投である横山俊夫先生、公立大学法人静岡文化芸術大学理事長の有馬朗人先生とは、大学の関係でも、また俳句でも、私とは旧知の仲であります。その関係もあって大いに連携しながら、とくに地域貢献を進めていければいいなと思っております。
1916年に設立された静岡女子薬学校を源流として、静岡女子大学、静岡女子短期大学の流れを見れば、早期から女子の高等教育が実現している歴史があることがわかります。県民の誇りとなる価値ある大学の理念の実現のために、教育、研究、地域貢献、国際交流において、それぞれに先端をめざした活動を、私も行っていきたいと思っています。
私はもともとは地球科学を専門とする研究者です。日本列島は4つのプレートが収束する変動帯にあって、地震、噴火、津波などの大規模な現象があり、それによって豊かな自然の恵みを受けて私たちは暮らしています。その視点からみると、静岡県はたいへん特徴的な地域でありますが、今日はとくに3つのことをお話しします。それらは富士山であり、桜であり、豊かな海であります。
桜の原種は11種ほど確認されておりますが、その中に大島桜があります。大島桜は、高さ15メートルに達し、葉の長さが5センチから10センチあり、葉の成長とともに茎の先端から数個の花をつけます。特にこの葉は香りが良く、京都の桜餅を包む葉として欠かせません。葉の適度な塩味が私はとても好きです。伊豆大島北東部の山中にある株が、1952年、特別天然記念物に指定されました。河津桜は、大島桜と寒緋桜の自然交雑種であると推定されています。1月下旬から2月にかけて開花する早咲き桜です。いずれも大変有名な桜です。
富士山は、高さと山体の大きさで日本最大の活火山です。最近10万年で急速に大きく成長した活動的で若い火山です。東京周辺の関東ローム層は、古富士火山からの火山灰を主体とする土です。新富士火山の噴火は、781年以後16回歴史に記録されていると言われています。平安時代にはたいへん活動していました。
次に日本近海の生物多様性のことです。全海洋生物種数の14.6%がこの日本列島の周辺に確認されています。とりわけ駿河湾は、最深部の水深2,500メートルに達し、日本で最も深い湾であります。2016年11月2日、メキシコ(プエルト?バヤルタ市)で開催された「第12回世界で最も美しい湾クラブ総会」において、駿河湾が、京都宮津湾?伊根湾、ブラジルのオールセインツ湾とともに、クラブへの加盟を認められました。
皆さんは、静岡県という、このようなすばらしい自然環境の中で、これからの学園生活を大いに愉しんでほしいと思います。在学の期間はあっという間にすぎていきます。学習とともに静岡県内を歩いて、その魅力を世界へ発信できる人となって、卒業していただきたいと思っています。
何と言っても、心身の健康に留意して、学園生活を思い切り楽しく送ってくださるよう祈って、私のお祝いの言葉とします。
おめでとうございます。ありがとうございました。
(2018年4月17日)
ご家族の皆さまは、学習の支援をしながら今まで見守ってこられました。今日の感激もひとしおであろうと思います。心からお祝い申し上げるとともに、入学を機会に、これからは独立した社会人として、静かに見守ってあげていただきたいとお願いします。
皆さんの先輩には、静岡県立大学の開学以来の卒業生18,315名、県立短大の開学以来の卒業生7,100名、静岡薬科大の卒業生4,176名、静岡女子大学の卒業生2,911名がおられます。それらを合計すると、実に32,502名の先輩たちが社会で活躍してこられました。
この歴史は、静岡県立大学連合学友会「はばたきの会」を中心とする連携のもとに、それぞれの分野での活動になって、続けられていることと思います。
私自身、今回この理事長に就任することによって、今日ご入学の皆さんと同じく、この大学の新入生であります。これから大学の中をしっかりと学んで参ります。やがてさまざまな機会を通じて、この「はばたきの会」についても、その具体的な姿に接することができると楽しみにしております。
また、本学と歴史的に関係が深く、本日のご来賓でもある静岡文化芸術大学の365体育网投である横山俊夫先生、公立大学法人静岡文化芸術大学理事長の有馬朗人先生とは、大学の関係でも、また俳句でも、私とは旧知の仲であります。その関係もあって大いに連携しながら、とくに地域貢献を進めていければいいなと思っております。
1916年に設立された静岡女子薬学校を源流として、静岡女子大学、静岡女子短期大学の流れを見れば、早期から女子の高等教育が実現している歴史があることがわかります。県民の誇りとなる価値ある大学の理念の実現のために、教育、研究、地域貢献、国際交流において、それぞれに先端をめざした活動を、私も行っていきたいと思っています。
私はもともとは地球科学を専門とする研究者です。日本列島は4つのプレートが収束する変動帯にあって、地震、噴火、津波などの大規模な現象があり、それによって豊かな自然の恵みを受けて私たちは暮らしています。その視点からみると、静岡県はたいへん特徴的な地域でありますが、今日はとくに3つのことをお話しします。それらは富士山であり、桜であり、豊かな海であります。
桜の原種は11種ほど確認されておりますが、その中に大島桜があります。大島桜は、高さ15メートルに達し、葉の長さが5センチから10センチあり、葉の成長とともに茎の先端から数個の花をつけます。特にこの葉は香りが良く、京都の桜餅を包む葉として欠かせません。葉の適度な塩味が私はとても好きです。伊豆大島北東部の山中にある株が、1952年、特別天然記念物に指定されました。河津桜は、大島桜と寒緋桜の自然交雑種であると推定されています。1月下旬から2月にかけて開花する早咲き桜です。いずれも大変有名な桜です。
富士山は、高さと山体の大きさで日本最大の活火山です。最近10万年で急速に大きく成長した活動的で若い火山です。東京周辺の関東ローム層は、古富士火山からの火山灰を主体とする土です。新富士火山の噴火は、781年以後16回歴史に記録されていると言われています。平安時代にはたいへん活動していました。
次に日本近海の生物多様性のことです。全海洋生物種数の14.6%がこの日本列島の周辺に確認されています。とりわけ駿河湾は、最深部の水深2,500メートルに達し、日本で最も深い湾であります。2016年11月2日、メキシコ(プエルト?バヤルタ市)で開催された「第12回世界で最も美しい湾クラブ総会」において、駿河湾が、京都宮津湾?伊根湾、ブラジルのオールセインツ湾とともに、クラブへの加盟を認められました。
皆さんは、静岡県という、このようなすばらしい自然環境の中で、これからの学園生活を大いに愉しんでほしいと思います。在学の期間はあっという間にすぎていきます。学習とともに静岡県内を歩いて、その魅力を世界へ発信できる人となって、卒業していただきたいと思っています。
何と言っても、心身の健康に留意して、学園生活を思い切り楽しく送ってくださるよう祈って、私のお祝いの言葉とします。
おめでとうございます。ありがとうございました。
(2018年4月17日)